インバウンド情報

当協会事業には、さまざまな言語にわたって有能な登録ガイド/通訳が携わっております。彼らは外国からのお客様と接するインバウンドの最前線で、お客様の嗜好、注意点、最新の傾向など生の体験、情報を日々蓄積しています。そこから得られる貴重な情報を私どものインバウンドサポート事業においても随所に反映させております。このコーナーではこれらを選りすぐって、会員の皆様がインバウンドのおもてなしを行うに当たって参考にしていただけるよう、最新の情報として随時掲載してまいります。

最近、外国人旅行者が増える中で、中国人向け観光ビザの発給要件緩和に伴い、特に中国人旅行者の数が増しています。個人旅行(FIT)で訪日される方も中にはいらっしゃいますが、渡航手続きの手間と難しさ、そして行動範囲が限られるといった理由から、旅行会社が主催する団体パッケージツアーで来られる方がほとんどです。滞在期間は5、6日程度。人気の観光ルートとしては、やはり箱根、京都が定番ですが、そのほか北海道、中には東京から箱根、岐阜、京都、大阪といった長距離を移動する、割とハードスケジュールのツアーも好まれています。これらの移動手段は、経費節約と荷物の運搬が容易なことから北海道は別としても基本的に観光バスが主流です。

日本に関する情報は、口コミやWEB検索で収集することが多く、訪日後はホテルなどの観光案内コーナーも利用されています。中国人観光客にとって日本への関心は、日本独特の美しい自然景観、温泉、神社仏閣、着物や茶道・華道といった伝統的なものからマンガ・アニメといった現代のポップカルチャーまで幅広く、そのほか自動車工場やビール工場、ゴミ処理場といった日本の産業を見学するのも人気です。しかし、神社仏閣の訪問は1カ所程度で十分で、数カ所訪問すると逆に不評になる場合もありますのでご注意ください。

中国人観光客にとって日本滞在の楽しみの一つに、何よりも買い物が挙げられます。家族や友人へのお土産として、資生堂、ファンケルなど日本製の化粧品、時計、デジタルカメラ、炊飯器といった電化製品や日本限定ブランド「バーバリー ブルーレーベル」の商品が人気です。そのほか日本の食事に関心が高く、うどん、ラーメン、寿司、刺身、天ぷらが好まれています。しかし、中には日本食を薄味と感じる方もいらっしゃるので、滞在中に一度や二度は中国料理を提供すると喜ばれます。特に麻婆豆腐が好まれます。

富裕層の方は五つ星ホテルを希望する方が多く、団体ツアーの場合、畳を体験できる和室や和宴会、そして温泉に入れる施設に宿泊する傾向があります。また、食事の面にも気を遣ってくれ、館内表示が充実していることも宿を選ぶポイントのようです。

IHCSAタスクフォース登録

中国語エスコート

坂下 世史子さん

(2010年12月10日)

私は、1~5人くらいまでの人数で訪日され、5日~1週間程度滞在される方をご案内することが多いです。大きなグループ旅行でも「個人旅行者の集まり」のような形になりやすいですが、これは身内同士で「水入らず」をお好みになる傾向が強いためです。人気観光ルートとしては、やはり富士箱根、京都が定番ですが、その他鎌倉、日光や伊勢志摩なども人気です。

今では日本人にとっても珍しくなった「純日本風」なイベント、例えば、各種武道の演舞、民族舞踊、神社での結婚式などに、ロシアの方は大変興味を持たれます。また、日本の最新技術を目の当たりにできる、科学館のような施設も人気があります。

また、混み合っていない場合に限りますが、「大江戸温泉物語」や「箱根小湧園ユネッサン」のような、総合温泉施設も喜ばれます。温泉体験については、大変積極的な方が多いです。ある時、ツアー代金や時間制限のため、水着ゾーンのみのチケットしかお渡しできないお客さんから、「何故、裸ゾーンに入れないのか」とクレームが出たこともありました。

日本に関する情報は、自国のインターネットや口コミで収集することが多いようです。特に、飲食店や土産店、百貨店などについては、場合によってはもっと良い場所がある可能性もありますが、まずはお客様が得ている口コミ情報を優先してご案内をするようにしています。来日後は、ホテルロビーや客室に配布されるフリーペーパーなどを利用して観光情報収集をされているようです。

買い物の場所としては、東京であれば、「オリエンタルバザール」や「キディランド」のような店舗が、ロケーションと品揃えの良さから口コミで人気です。定番の浴衣や法被(はっぴ)の他、資生堂など日本ブランドの化粧品、サプリメント、血圧計などを購入される方が多いです。

寿司、刺身はロシアの方に大変人気が高く、特に築地市場周辺の店の情報は口コミになりやすいようで、ネタの新鮮さから店の名前まで指定して訪問される方もいらっしゃるほどです。その他食事では、天ぷらや鉄板焼も好まれます。好き嫌いが極端に分かれるのが小豆(あずき)ですが、和風甘味は最近気に入られる方が多くなっています。また、食べ物ではありませんが、梅酒はロシアの方に大変好評です。

禁煙フロア、禁煙ルームをご希望のお客様を案内した際、部屋に入ると明らかに煙草の臭いが感じられ、別の部屋に案内してもそこも臭くて、お客様を激怒させることがありました。消臭スプレーをかけているとの説明でしたが、この臭いはそう簡単に消えるものではないようで、日本の多くの宿泊施設では、喫煙に寛容、あるいは鈍感だと感じられているようです。館内や客室内の案内は、ロシア語であればそれは喜ばれますが、少なくとも英語のものが完備されていることが望ましいようです。

また、お客様がいる男性トイレや温泉施設内で、女性清掃員が作業しているケースが多いですが、ロシア人男性はこれを極度に嫌いますので、ご注意を。

以上、あくまでもほんの一例を紹介したにすぎませんが、これが少しでも皆様のお役にたてるなら幸いです。

IHCSAタスクフォース登録

ロシア語

岩岡 博信 さん

(2011年2月21日)

さまざまな国から来られた外国人旅行者をご案内していますが、私の場合、ご友人、ご夫婦、ご家族といった10名以下の小グループの個人旅行者から、特に春秋のシーズンでは20~30名、時には40名近くの団体旅行者まで幅広く担当しております。滞在期間は1~3週間程度。私が担当してきた定番の観光ルートは、東京都内に宿泊して鎌倉、箱根、日光の東京近郊や、京都に宿泊して奈良に足を延ばすコースです。そのほか、高山、金沢、高野山、大阪、広島なども人気のある観光エリアです。交通手段は、最近の旅費節約タイプの団体旅行の中には、長距離移動に一部新幹線を使う以外はすべて観光バスで移動する場合もある一方、個人旅行では、JRが発行する「Japan Rail Pass」を使用する人が多いです。

 

外国人旅行者にとっての関心は、日本庭園やお茶や書道など日本の伝統的な文化を体験することばかりではく、現代建築に興味のある方も多いです。安藤忠雄の作品は特に人気が高く、それを目当てに通常のルートには含まれていない香川県直島を訪問することもあります。また、原広司が設計した京都駅ビルも好まれます。そのほか、若い世代にはサブカルチャーのマンガが浸透しており、京都にある国際マンガミュージアムも人気スポットです。

これらの観光情報は、日本に来る前から口コミや現地のエージェント、またインターネットやガイドブックなどから収集し、来日後は空港・駅などの観光案内所やホテルのコンシェルジュなどを利用されたりします。しかし、なかには外国のガイドブックに紹介されている知名度の高い観光地でも、実際に行ってみると期待外れの印象を与えるケースもあるようで、そのような場合には当然のことながら不評になることもあります。

ある有名な大名庭園を訪れた際、「実際に行ってみると芝生の広がる空間で、期待外れだった。」と感想を持たれた方もいらっしゃいました。同じ大名庭園でも金沢の兼六園のように松などの樹木が美しく剪定(せんてい)され、風情のある石灯籠が配されて、歩むごとに景色が変わるスタイルのお庭は日本的と受け止められるようです。また、やはり京都のお寺の庭園(回遊式、枯山水)は外国人に好まれます。

外国人向けの着物、陶磁器、漆器、扇子、木版画、人形などの定番のお土産やここ最近ではマンガ、フィギュアといったお土産も人気です。また、西洋人は男性でも料理されるので包丁など実用品を買われる方もいらっしゃいます。

日本食に関しては、今は海外でも日本食ブームではありますが、自国のレストランでは寿司や焼き鳥など定番のものしか食べられないことが多く、真に日本に興味のある方ですと食材、調理法、器などすべての点でバラエティに富んでいる会席/懐石料理を()でられます。ただ、一般的にはそれ自体にほとんど味がないお豆腐を使った湯豆腐のようなものはあまり受けません。京料理に欠かせない生麩(なまふ)は、炊き合わせなどでは食感が好まれませんが、田楽として出されると美味しいとおっしゃる方が結構おられ、調理法にもよると思います。

西洋人の場合、信頼度が高く、世界的に展開している外資系のホテルを好む傾向があるように思います。京都では、特にフランス人はハイアットリージェンシーの和モダンスタイルのインテリアがお気に入りのようです。

外国人旅行者に喜ばれる宿泊施設のサービスはインターネット接続サービスです。お部屋以外にもロビーなどのパブリックスペースにあると喜ばれます。一方、宿泊施設がしてしまいそうで実はしてはいけないことのひとつは、禁煙ルームのリクエストに対し、完全禁煙の部屋でなく、消臭対応の部屋を提供することです。タバコの臭いには大変敏感です。外国人旅行者は、部屋にタバコの臭いが少しでも残っているととても嫌がりますのでご注意ください。

 旅館のお食事に関しては、夕食は純和風スタイルでも朝食は洋食メニューが選べたり、無理な場合でもコーヒーを付けたりするだけでも良いと思います。また、正座が苦手な外国人旅行者にとっては、

畳の上に椅子・テーブルをセットして食事できる施設は大変喜ばれます。          

IHCSAタスクフォース登録

フランス語

広石 万佐子さん

(2011年4月13日)


























Follow me!